ビート板

ふとした時、ある言葉が頭に思い浮かぶ。

そういうことが私にはよくあります。

よく使う言葉であったり、懐かしい言葉であったり。

突拍子もない言葉出てきたりして、びっくりしたりすることもあるんです。

自分でもはっきりとは思い出せず、それでいて確かに以前に聞いていた言葉。

何かの関連で思い出したのではなく、なんの脈略もなく頭にフラッシュします。

先日、例のごとくボーっとしていました。仕事中に窓の外の雲を眺めながら。

その時、どこからともなく頭に浮かんだ言葉・・・

「ビートバン」

ん? ビートバンってなんだっけ?

プールで使うやつ

懐かしい響きとは思いつつもしばし思い出せず・・・

音楽的な「ビート」と「バン」に引っ張られ、韓国のアイドルグループか? いや違う。

ビッグバン的な、なんか宇宙規模な壮大なやつか!?

と身構えていたら、あにはからんや、

あー、あのプールで使うやつ! とひらめきました。

数十年も前のことなんて、この程度の記憶の薄さなんですね。

ところでこの「ビートバン」ていうもの、いったい何語なんだろう?

なんか変な名前じゃない? どこかが登録商標を取っているんだろうか?

そこでまたまたひらめきが!

あっ! 「ビートバン」ってもしかして「ビート板」か!

バンと板

さっそくネットで調べてみると確かに「ビート板」とある。

んー恥ずかしい・・・常識っぽい。

何でこんなことを知らなかったんだろうと考えてみました。

ひとつ考えられるのが、字づらを見たことがなかったこと。

プール係か何かに就任していれば、チェックリストなどで「ビート板」という単語を見かけたかもしれません。

そしてもうひとつ考えられるのが、私の小学生当時には「ビート板」と呼んでいなかったということ。

薄い記憶ではありますが、たしか「バン」と呼んでいた気がします。「バン」とだけ。

「ビート板」を略して「バン」なのか、もはや確認のしようがないので何とも言えません。

おそらく私のその後の人生で「ビート板」という言葉を学習し、当時の「バン」の記憶と結びついたのでしょう。

さてその「ビート板」、なんであんなにも「沈まない」のでしょう?

上に立つ!

私は当時、ビートバンはバタ足の練習には一度も使ったことがありません。

そう、ビート板の上に立つこと! にチャレンジしていました。

あーいたいたー・・・って思いましたか?

私のプールの時間は「ビート板との戦い」と言っても過言ではありません。

まずプールに行くと、真っ先に向かうのはビート板棚です。

プールの脇に設置された棚に無造作に積み上げられているビート板の中から、なるべく新しいものを確保します。

ざらざらしたものではなく、ツルツルしたもの。

気づいていましたか? ビート板は古いものは浮力が弱いんです。しかも割れるんですね。

なるべく新しいもの、カチカチの新品ライクなものを確保出来たらやることはひとつ。

ビート板の上に立つんです!

強力な浮力

正確に言うと、足の裏にビート板をつけて一気に下に沈めるんです。

と同時に両手を広げて垂直に立位をキープするわけです。

だいたいひざ下くらいが水面下に沈み、うまく均衡がとれると数秒キープできるという「夢」です。

当時は5秒間程度立った体感でしたが、今考えると1秒間も保持できていなかったんでしょうね。

なにが私を夢中にさせたか、大人になって冷静に考えてみると、おそらくあの強力な浮力だと思います。

あんなに薄く軽いのに、それとは裏腹な尋常ではない浮力。

意地でも沈めたくなるんですね。

使われている素材を調べてみると、大手ブランドではポリエチレン(PE)という素材が使われているようです。

私たちがよく使う「ポリ袋」がポリエチレンで出来ています。

そう思いながらスーパーでポリ袋をまじまじと見ていると、「やー久しぶり~」なんて思ってしまいますね。

DMN

人間がボーっとしている時は、脳が「デフォルト・モード・ネットワーク」と言われる状態になっているということが研究で分かっています。

「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」とは、何も作業や集中をしていない時に、脳がメンテナンスなどの内向きな作業を無意識のうちに行う状態のこと。

ちなみに人間が何か積極的な活動を行っている時のエネルギー消費量は、脳の全能力のうちの5%程度と言われています。

ところがこの「 デフォルト・モード・ネットワーク」時のエネルギー消費量は、60~80%程度とも言われています。

ボーっとしてる時には、脳はとんでもない坂道ダッシュをしているんですねー。

このメンテナンスの中には記憶の整理、つまり「捨てる記憶」と「残す記憶」を取捨選択などもしていると言われています。

と考えると、今回の「ビートバン」という言葉、私の脳が捨てようとしたんでしょうね。

捨てようとしてたら、ぽろっとこぼれ落ちちゃって、思い出しちゃって、こうやってコラムを書いちゃってる。

これでまた記憶が定着しちゃったわけですか。なるほど。

だからいつも大事なことを忘れて、つまらないことを覚えているわけかー、納得。

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