第9回|“介護離職”を防ぐために知っておきたいお金の話

◆ はじめに

「母の介護が急に必要になり、会社を辞めざるを得なかった」
「フルタイムを続けられず、パート勤務に切り替えた」

——現場で、そんなご家族の声を耳にすることは珍しくありません。

介護は長期にわたり続くことが多いため、“働きながら介護をする”選択が重要です。ここでは、FPとしての制度知識とケアマネとしての実務経験を合わせて、介護離職を防ぐために知っておきたいお金と制度について整理してみます。


◆ 介護離職の現実

厚生労働省の調査では、毎年約10万人が介護を理由に離職していると言われます。収入減だけでなく、年金額の減少や再就職の難しさなど、将来に長く影響するのが介護離職の怖さです。


◆ 介護休業制度の活用

正社員であれば「介護休業制度」を使うことができます。

☆ 最長93日間(分割取得も可)
☆ 雇用保険から「介護休業給付金」が支給(給与の約67%)

現場では、「制度は知っていたけど会社に遠慮して使えなかった」という声も。まずは上司や人事に相談し、制度を前向きに使える雰囲気を作ることが大切です。


◆ 時短勤務・介護休暇

介護のために「毎日少し早く帰る」ことも可能です。
介護休暇は年5日(家族が2人以上なら年10日)を有給で取得できます。フルタイムを続けられない場合でも、時短勤務制度を利用しながら、働き方を調整する選択肢があります。


◆ 公的支援の“見落とされがち”な制度

・高額介護サービス費制度 → 自己負担が一定額を超えた分は払い戻し
・介護サービス利用料軽減制度
→ 所得や資産状況に応じた軽減措置
・地域独自の家族介護支援
(買い物代行や家事支援)

制度を組み合わせることで、仕事を辞めずに介護を続けやすくなります。


◆ ケアマネとして感じること

「もう限界だから退職します・・・」
実は制度を使えば続けられるケースも少なくありません。働くことは収入のためだけでなく、介護する側の心の健康を守る意味もあります。


◆ まとめ

☆ 介護離職は、収入・年金・再就職に長く影響する
☆ 介護休業・介護休暇・時短勤務を積極的に活用する
☆ 制度を知り、支援を組み合わせることで“辞めずに続ける”選択肢が広がる

介護は一人で背負わなくて大丈夫です。職場・制度・地域の力を借りながら、家族も自分も守っていきましょう。


◆ 次回予告

——次回は最終回。「親の最期にかかるお金と“その後”の手続き」について、FP×ケアマネだからこそ伝えたい全体像をお届けします。

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