秋と金と銀

ようやく、と言いますか、ついに、と言いますか、やっと、秋が来ました。

街を歩くと開花した彼岸花がちらほらと。赤の中に白が混じっていると一段と映えますね。

キバナコスモスも道路の両脇を飾るように咲き始めました。あのオレンジもやっぱり秋の色ですね。

体感は多少暑くても、視覚で涼しさを感じる。そんなことも今年初めて感じました。

視覚から季節を感じることもあれば、嗅覚から季節を感じることもあります。

どこからともなく漂ってくる匂いによって、秋の到来を感じる。これもまた風情がありますね。

秋の匂いと言えばやはりキンモクセイ。近くを通るだけで幸せな気持ちになります。

匂いに気づいて周りを見回すと、遠くに1本だけオレンジの花をつけたキンモクセイを発見したりするのもまた、いとをかし。

さて、秋の匂いと言って忘れてはいけないものがもう一つあります。

秋の味覚、銀杏です。

銀杏の実

イチョウの木から落ちた銀杏(ぎんなん)の実は、ご存じの通り強烈な臭いを発します。

もし踏んでしまった暁には靴の底にこびりつき、玄関を永遠の秋にしてくれちゃいます。

靴も大変ですが、自転車で踏んでしまうとこれもまた大惨事になります。

タイヤの溝にこびりつきなかなか取れず、自転車に乗るたびに気絶しそうになります。

私は以前イチョウの大木の真下を自転車で通ってしまい、無数の銀杏を踏んだ結果、前後輪のすべての溝に銀杏がこびりついてしまったことがありました。

その時はタイヤを水で洗いすべての銀杏を落としたんですが、翌日自転車に乗ってみるとやっぱり臭いんです。

もう一度自転車を見回してみたところ、なんと泥除けの裏にびっしりと銀杏がこびりついていて驚愕したことがあります。

その経験則からたどり着いた結論。

「秋のサイクリングはコース取りが命」

秋の自転車ルート

私は自転車で外回りをするのが仕事なので、その日に会社を出発する前にコースを考えます。

秋のテーマは2つ。

①イチョウのある道を避ける
そして
②キンモクセイのある道を通る

この2つを達成できれば素敵な秋を満喫できるはず。

まずルート上にあるイチョウとキンモクセイをすべて把握しなければなりません。

私の場合は毎年蓄積されたデータが頭の中にあり、それぞれの分布図を思い描きルートを作っていきます。

多少遠回りにはなってしまうため時間をロスすることは否めませんが、ただでさえ短くなりつつある貴重な秋を快適に過ごすためにはこれくらいの犠牲は払います!

ところが月に1回だけ、必ずイチョウの真下を通る必要があるのです。そこを通らないと目的地に行けず迂回ルートも存在しないという、インディージョーンズも真っ青の困難スポットがあるんです。

毎年そこを通る際にはあらゆるアイディアで立ち向かってきましたが、毎年敗北してきました。

今年は大したアイディアも思いつかず、銀杏の実をなるべく踏まないようにしようとだけ考えてそこに向かいました。

到着。あーやっぱり今年もいちめんまっ黄色だ・・・

秋を見上げる

どうみても自転車で通ることができる面積は残されておらず、潔く自転車で通過するしかなさそう。

いや、自転車を置いて行けばいいんじゃないか? 天の声が聞こえました。なるほど!

目的地まではここから徒歩5分程度。許容範囲だ。何で気づかなかったんだろう。

さっそく自転車を手前に停め、バレリーナの如くつま先立ちで少しずつ進む。トウシューズが欲しいと本気で思う。後方で小学生が笑っている気がしたがそんなことは気にしてられん。

遅刻ギリギリでしたが何とか無事終了。解放感で歩いていた時に足元から「バキバキッ」

しまった!

気づくとイチョウの木の真下に立っていました。あー今年もやってしまった・・・

動くことも出来ずその場に立ち尽くし空を仰ぐ。すると真下から見るイチョウの葉っぱの何と美しいこと!

青空に向かってまっすぐ伸びるイチョウの木、黄色い葉っぱが空に透き通ってなんとも言えない極薄の黄色になっています。

そこにどこからともなくキンモクセイの香りが漂ってきました。こんなところにあったのねー知らなかった。

秋の「2大匂い」キンモクセイとイチョウ。どちらもいいものだなぁー。再認識しました。

秋を代表する金と銀。日本の秋はこれから深まっていきます。

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