「介護が始まったら、家族みんなで協力するはずだったのに…」
そんなふうに思った瞬間から、きょうだいの関係に少しずつズレが生まれてしまうことがあります。
これまでご紹介してきたように、介護の出費はじわじわと家計に響きます(第1回)。
通帳や保険の内容を把握して(第2回)、必要な手続きや制度を選び備えること(第3~6回)はとても大切でしたね。
今回は、それらを踏まえたうえで「きょうだい間の役割分担」と「お金の公平感を保つ方法」について、現場でよく耳にするリアルなお話をもとにお伝えします。
◆ きょうだい間のすれ違いはなぜ起こる?
介護が始まると、急な対応が必要になり、役割分担がはっきりしないまま動き出してしまうことが多くあります。これが、きょうだい間の関係を揺らすきっかけになるのです。
特によくあるのは、「誰が介護の中心になるか」「金銭的負担をどう分けるか」という点でのすれ違いです。
その背景には、子どもの頃の家庭内での役割の違いや、長年の感情のしこりが隠れていることもあり、介護をきっかけに表面化する場合もあります。
◆ トラブルを防ぐために、最初にしたいこと
親の希望を知る
介護を始める前に、「どこで生活したいのか」「どんなサポートを望んでいるのか」を聞いておくことは、きょうだい間の対立を防ぐ第一歩です。
親の経済状況を共有する
貯蓄や収入、通帳や印鑑の場所などをあらかじめ共有し、「なぜ費用が必要なのか」を言葉と数字でわかる形にしておくことが大切です。
役割と費用の分担を明確にする
誰が主に介護を担うのか、遠方に住むきょうだいは費用負担を中心にするのかなど、それぞれができる範囲を事前に決めておくと、不公平感を防ぎやすくなります。
◆ 負担を「見える化」する工夫
「自分ばかり負担している気がする」「あの人は何もしていないのでは」という気持ちは、記録を残すことでぐっと減ります。
支出や介護にかけた時間を「介護日誌」に残しておけば、他のきょうだいに協力をお願いしやすくなり、説得力も増します。
また、この記録は将来「寄与分」として相続に反映させる際の大切な証拠にもなりますので、丁寧に残しておくことをおすすめします。
◆ 話し合いが難しいときは
もし話し合いが行き詰まり、関係が悪化してしまった場合は、家庭裁判所を通じて「扶養請求調停」を申し立てる方法もあります。
これは、きょうだい間の話し合いに第三者(調停員)が入り、解決を目指す制度です。
親の介護は、かけがえのない時間であると同時に、きょうだい関係のあり方を問われる場面でもあります。
だからこそ、「話し合う」「記録する」「専門家の力を借りる」――この3つを意識して、関係を守りながら支え合っていきたいものです。
▶ 次回予告
親が入院した!医療と介護のあいだで必要になる「お金と準備」をテーマにお届けします。
入院中の費用や退院後を見据えた備え、ソーシャルワーカーとの連携についても、具体的な事例を交えてご紹介します。

