第4回|ケアプランとお金のリアル:希望と制度の間で

~「もっと手厚くしてほしい」が実現しない理由と、自己負担を抑えるヒントとは?~

◆ はじめに

「母の入浴、週に3回お願いしたいんです」
「父を毎日デイサービスに通わせたいのですが……」

こうしたご希望は、ケアマネとして日常的に耳にするものです。
このような時に制度とご希望の“はざま”に立ち、説明と調整に尽力しているのがケアマネなのです。

今回は、介護サービスの設計図=ケアプランがどうやって作られているのか、そしてその中で起きがちな“希望とのギャップ”と費用のリアルを、ケアマネかつFPの立場から率直にお伝えいたします。


◆ ケアプランは「公的保険の予算内」で作られる

介護サービスは、健康保険と同様に「介護保険」という制度によって支えられています。
そのため、要介護度ごとに上限額(月あたり)が設定されており、その範囲内でサービスが組み立てられるのです。

【例】要介護2の上限(1割負担の場合)
| 上限額(介護給付) | 自己負担(1割) |
| 約19万7000円/月 | 約1万9700円/月 |

📌 この“枠”を超えてサービスを希望する場合は、「全額自己負担(10割)」での利用となります。


◆ 「思ったより使えない」は制度の設計上、当然のこと

「週3回の入浴介助は無理なの?」
「毎日デイサービスに通わせて、安心したい」

……気持ちはとてもよく分かります。
しかし現実には、入浴介助だけで1回あたり約400単位(約4,000円相当)。週3回なら、入浴だけで約5,000単位(約50,000円相当)を消費します。

💬 ケアプランは、
◎ 本人の心身状況
◎ 家族の介護力
◎ 経済的な負担のバランス
すべてを考慮した上で「今、最も効果的な組み合わせ」で作られています。


◆ 限度額を超えた場合はどうなる?

「足りない分をお金で補えばいい」とお考えになる方もいらっしゃいますが、
介護保険外のサービスは、全額自己負担。利用単価も高めです。

【例】訪問介護(自費サービス)の場合
| 30分の訪問 | 約3000~4500円(地域差あり) |

同じ内容のサービスでも、介護保険内と保険外では金額が大きく異なるのが実情です。


◆ FP視点からのアドバイス:「保険外」の活用には優先順位を

もし自己負担してでもサービスを増やしたいと考えるなら、
【①安心感】【②本人の安全】【③家族の負担軽減】の視点から、目的を明確にしておきましょう。

✅ 「とにかく回数を増やす」ではなく、
✅ 「この曜日・時間帯だけ頼む」「入浴だけはプロに任せる」など、
目的と費用のバランスを意識した組み立てが、継続には欠かせません。


◆ 現場からのひとこと

「週3回の入浴介助」を希望されたご家族に、週1回は介護保険内、残り2回はご家族で見守る形をご提案したことがありました。
最初は不安そうでしたが、慣れてくると「家でもできることがある」と感じてくださり、結果的に負担と費用を抑えることができました。

ケアプランは“固定された答え”ではなく、“調整できる計画”です。
まずはケアマネに率直なご希望とご事情をお伝えください。


◆ まとめ|ケアプランは「生活を設計する相談書」

ケアプランは、ご本人の暮らしを維持・向上させるための設計図であり、
公的支援を最大限に活かしながら、ご家族の役割や費用負担とのバランスを図るものです。

✅ サービスを「増やす」だけでなく、「どう組み合わせるか」が鍵
✅ ケアマネと“お金のことも含めて”遠慮なく相談を
✅ 自費サービスの活用は、「目的」「期間」「費用感」を事前に整理して


▶ 次回予告

第5回|施設か在宅か? 費用と選択のリアル
~有料老人ホームと在宅介護、それぞれにかかるお金と「思わぬ出費」~
を現場の視点から解説します。

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