「このまま家で介護を続けていけるかな…」
「そろそろ施設も検討した方がいいかも…」
介護が本格化してくると、必ずといっていいほど出てくるのが”施設にするか、在宅で頑張るか”という選択です。
この判断には、ご本人の状態やご家族の体力・時間の問題だけでなく、お金の面も大きく関わってきます。
今回は、現役ケアマネとしての経験をふまえて、それぞれにどれくらいの費用がかかるのか、そして実際のご家庭でよくある“想定外の出費”についてもお伝えしていきます。
◆ 有料老人ホームの費用って、どれくらい?
「施設に入れば安心」と考える方も多いのですが、費用面はしっかり見ておきたいポイントです。
たとえば有料老人ホームの場合、入居時にかかる「初期費用」が数十万〜数百万円のケースもあります。
一方、初期費用ゼロの施設も増えてきていますが、その分、毎月の利用料は高めな傾向です。
月額費用は、介護サービス費・食費・管理費などを含めて、だいたい15万円〜30万円前後。地域によってかなりのバラつきがあります。
要介護度が上がると、介護サービス費も上がるため、月々の支払いが増えていくこともあります。
さらに、医療的なケアが必要になったときには、提携病院との診療費や送迎費が別途かかることもあります。
「入ったら終わり」ではなく、「入ってからも続く支出」に備えておくことが大切です。
契約時にしっかりと確認したいポイントです。
◆ 在宅介護の費用は本当に安いのか?
「できるだけ家で過ごさせてあげたい」という気持ちはとても自然なものですし、在宅介護には大きな意味があります。
ただし、費用の面では、実は在宅も決して安いとは限りません。
たとえば、
・介護保険サービスの自己負担(1〜3割)
・介護保険対象外の費用(食費、居住費など)
・手すりや段差解消などの住宅改修
・福祉用具のレンタル・購入
・ご家族の交通費や休業による収入減 など
こうした費用が積み重なると、月々数万円〜10万円以上になることもあります。
さらに、在宅介護を家族が担う場合は、“時間”や“体力”、“気力”も大きなコストになります。
◆ 現場でよく見る“思わぬ出費”
私がよく耳にするのが「こんなにお金がかかると思わなかった」というご家族の声です。
たとえば、
ー施設に入ったけれど、職員の対応に不満があり再度転居が必要にー
ー家族の介護負担が限界を超え、急きょショートステイやヘルパーの利用が必要にー
こういったケースでは、“予定していなかった支出”が発生することも少なくありません。
介護はどうしても“予定通りにいかないこと”の連続ですから、余裕を持った資金計画がとても重要です。
◆ 後悔しない選択のために、大切な視点
「施設が正解」「在宅が安心」 ―そんな“正解”は、実はありません。
それぞれに良さと難しさがあります。
だからこそ、大切にしたいのは以下のような視点です。
◎ご本人の心身の状態に合っているか
◎ご家族が無理なく関われる範囲か
◎数年先を見越した継続可能なプランか
ご家族の価値観や生活状況によって、“ベストな選択”は異なります。
「どうするのがいちばん良いのか」と悩んだときこそ、ケアマネや地域の専門職に相談してみてください。
選択肢を一緒に整理しながら、「その家族にとって納得できる形」を見つけていくことができます。
▶ 次回予告
「第6回|成年後見制度・家族信託…親のお金を守る選択肢」
認知症になったときに通帳や資産はどうなるのか?
「成年後見制度」や「家族信託」などの制度を、わかりやすくお伝えしていきます。

