私はケアマネジャーという仕事と並行して、介護保険の認定調査員を行っています。
認定調査を行っていると、いろんな人の物忘れのエピソードを聞く機会が頻繁にあります。
「隣の部屋に物を取りに行ったら『ありゃ、何しに来たんだったか??』」
と、これが基本形。ついうっかりの王道ですね。
「芸能人の名前が出てこないのよー、いやいや顔は頭に浮かんでるのよー」
これが基本形その2。物の名前が出てこないというもの。
私から「それなら私も毎日あります」と言うとみんなで大笑い。
高齢になると誰でも自分の物忘れが不安なんですね。
ご存じの通り、この程度の物忘れは認知症とは診断されません。
でも、もしかすると「MCI」かもしれないんです。
MCI
「MCI」とは「軽度認知障害」のこと。
認知症への前段階、つまり「認知症の予備軍」のことです。
認知症にはいくつかの種類がありますが、7割弱が「アルツハイマー病」です。
アルツハイマー病は脳の表面に有害なたんぱく質が長年にわたってこびりつき、そこから脳が少しずつ萎縮していく病気です。
その有害なたんぱく質は、発症の20年程前から少しずつ少しずつ蓄積しているということがわかっています。
ということは、80歳でアルツハイマー病と診断された方は、60歳頃から蓄積し始めていたということになります。
この発症までの過程で、少しずつ物忘れの症状が出始め、「あれ、おかしいな」と本人、家族が感じ始める段階があります。
この段階が「MCI(軽度認知障害)」と呼ばれます。
では、この「MCI」と「歳相応の物忘れ」との違いはどこなんでしょうか?
実はこれ、明確な違いはないんです。
対策をする
アルツハイマー病によるMCIの場合、すでに脳の萎縮が進行している可能性が高く、萎縮前の状態に戻すことはできません。
そのことが、「MCIの人は何の対策もしないと5年後に認知症になる」と言われる理由なんですね。
ただ、MCIの段階で対策をすることで病気の進行を遅らせたり、改善したという報告もあるのです。
一方、歳相応の物忘れの場合、ちょっとした対策で脳が活性化し物忘れがなくなることもわかっています。
ということは、MCIであろうが物忘れであろうが、気づいたその日から対策を打つことで改善方向に向かうということには疑いの余地がないということです。
気になったら専門医を受診するのがベストなのですが、ちょっとした物忘れであれば行くのも躊躇しますね。
そこで自分で出来る対策として、「運動」「食事」「脳トレ」が有効だと言われています。
この3つを気づいた今日から、できる範囲で行っていくことが大切だと思っています。
この「できる範囲で」というのがポイントで、無理をせずに楽しく行うことが大切です。
運動対策
まず「運動」について。
ジョギングやジム、デイサービスに行くなどの定期的な運動が出来ればベストなのですが、なかなか・・・
そんな方には、自宅でちょこっと体を動かすように習慣づけます。
全身を鍛えるのはおっくうなので、鍛える部位は1ヶ所に絞ってしまいます。
「スクワット」のみ! これで転倒を予防し寝たきりを防止します。
まずルールを1つだけ作りましょう。
例えば以下のルールから自分に合ったものを1つだけ選んでみてください。
「冷蔵庫を開けたら5回スクワット」
「トイレに行ったら10回スクワット」
「家族に怒ってしまったら10回スクワット×3セット」
「ウトウトをしたら10回スクワット×3セット」
「おやつを食べちゃったら10回スクワット×3セット」
この中から1つ選んで今日から実行します!
やり方は肩幅まで足を開き、ゆっくりとお尻を上下します。
この時にお尻を膝の位置より下まで下げないことがポイントです。
食事対策
「食事」について。
老化を防止する食材についてはいろんな研究がされており、いくつかの有効な食材がわかっています。
「老化」イコール「酸化」だと言われており、身体のサビつきを予防すれば老化を予防できることもわかっています。
つまり「抗酸化物質」の入った食材が有効だということです。
例えば、「ビタミンA、C、E」「ポリフェノール」「カロテノイド」などが入ったもの、緑黄色野菜やナッツ、ワイン、わかめなど。
んー、いいのはわかっていてもちょっと面倒だし続かないかも・・・
ということで、食事についてもルールを1個だけ作ります。
「腹八分」。これだけ。
とにかくおなかいっぱい食べないようにします。
外食の時はご飯を半分残す!
これで「腹八分」になります。
脳トレ対策
「脳トレ」について。
これもなにか1つだけルールを決めて実行します。
例えば「買い物かごに入れたものを計算していく」というもの。
スーパーで買い物をする際に、かごに入れた商品の値段をひたすら足していきます。
値段は適当に四捨五入します。38円は40円、135円は100円、158円は200円、のように。
これをかごに入れるたびに計算していき、レジに並んだ段階で合計額を言えるようにします。
この方法は、認知症の検査に使われる「短期記憶」と「計算」という2つの項目のチェックになります。
他にも「車のナンバーを記憶する」というものもおススメ。
ちょっとした外出時、たとえば買い物する時などに、周辺の駐車場に止まっている車を決めてナンバー4ケタを記憶します。
それを帰りに答え合わせをします。語呂合わせは無しですよ。
まずは今日からスクワット! いまから始めれば間に合うと信じて!


