サイニングストア

東京都国立市にあるスターバックスコーヒーに行ってきました。

JR中央線国立駅に隣接する商業施設の1階にある店舗です。

改札を抜けるとすぐにスタバの緑色のロゴが見えます。

私はあまりカフェには入らないのですが好きな人にとってはこの瞬間がたまらないんでしょうね。

好きなコーヒーチェーンのロゴを発見したときの安心感はなんとなくわかります。

大学通りを左手に見て入り口に向かうと他の店舗とは明らかに違う「STARBUCKS」の看板があります。

「よし!」と深呼吸をして入り口を抜けると静かな店内に驚きます。

他の店舗とは空気が違う・・・

この店舗、他のお店とは1点だけ大きく違う点があるのです。

客と店員さんの会話がすべて「手話」なのです。

手話が公用語

この店舗は「サイニングストア」という形態のお店で手話などの身振り手振りでコミュニケーションをします。

つまり公用語が手話なのです。

手話が第一言語でありそれが出来ない人は指差しやジェスチャー、音声認識タブレット、筆談などを使って店員さんとやり取りするのです。

入り口の看板には「STARBUCKS」のひとつひとつの文字の上に指の形が描かれているんですね。

その下には「Proudly-served in sign language.」と書かれています。

「手話を使って誇りをもっておもてなしします」という意味でしょうか。

実は今回私はひとつだけ目標を持ってお店に向かいました。

それは「ありがとう」を手話で伝えることでした。

注文を伝えて会計を終えたあとに「ありがとう」と手話でお礼を伝えたかったのです。

数日前から手話の秘密特訓を入念に行い当日に臨みました。

やや緊張しつつ注文待ちの列に並びました。

指差し注文

まず想定外だったのはすぐに注文の順番が回ってきてしまったことでした。

前に並んでいる人のやり方を学習するというお約束のアレが出来なかったわけです。

そうこうするうちに店員さんに促されて前に進む。

緊張しながらレジ前に立つと店員さんが笑顔で「いらっしゃいませ」の手話をしてくれました。

左右の人差し指を向かい合わせにしてお辞儀するポーズをする手話ですね。

私もぎごちない笑顔で「ハーイ」と右手を上げて答える。

目の前にあるメニューシートで「ソイラテ」を指差します。

次にメニューシート上の「店内」を指差し「ショート」を指差し「ホット」と順番に指差していきます。

最後に合計金額が表示されたレジのパネルをこちらに向けてくれました。

いよいよ「ありがとう」の手話の出番だと思いつつスマホのQR決済画面を店員さんに見せると・・・

ごめんなさい

店員さんが申し訳なさそうな表情で何かの手話をしているのです。

なんとQR決済が使えない店舗だったんです。

駅地下などによくある交通系の決済しか使えない店舗だったのですね。

慌ててスマホのモバイルPASMOを出すもこんな時に限って残高ゼロ。

さらに慌ててチャージをかけるが30秒近くかかってしまうという・・・

ボロボロになりながら会計を済ませると店員さんに笑顔で受け取り口に促されました。

その時に「ごめんなさい」と伝えようと思ったのですが手話がわからず。

全身血だらけになりながらようやくできた手話は「ありがとう」の左手がない版、右手で拝むジェスチャーでした。

店員さんは笑顔で「ありがとう」の手話を返してくれました。

いやそれ・・・オレがやるはずだったやつ・・・

ふと後ろを見ると長い行列ができていました・・・

ゆったりとした時間

席につき落ち着いてみるとやはり静かです。

周りを見回してみるとひとり客も多く年配の方もちらほら。

もし団体で来店したとしても少し声量を落としてしまう雰囲気を感じます。

入り口にあった指の絵が描かれたお店の看板が店内にも飾られています。

『なるほど「S」「T」「A」の3文字は一見すると全部同じじゃんけんのグーに見えるけど少しずつ違うのね。これらは英語の手話だから日本とはちょっと違うのかな。「C」は見た目がCに見える手話なのね。ピースをすると手話では「K」になるのか。ちょっと手話を勉強してみようかな・・・』

ゆったりとした時間が過ぎていきます。

ちなみに家に帰ったあと「ごめんなさい」の手話を調べてみました。

なんと私が満身創痍で繰り出した右手で拝むジェスチャーは「ごめんなさい」の手話にかなり近いジェスチャーでした。

手で拝む前に眉間を指でつまめば満点の「ごめんなさい」だったんですね。

なんとか伝わったかな・・・

幸せな瞬間

このお店と同じフロアには書店もありました。

帰る前にぶらぶらしながらひと回りしようと流行りの書籍などを見ていました。

すると「すみません」と声をかけられ振り向くと車いすの若い方でした。

私がぶつかりそうになったので声をかけたようです。

私が道を譲ると会釈をして通過していきました。

手に本を持っていたので書店の会計に向かったのでしょう。

その瞬間、なんかこういう世界っていいなーって思いました。

理屈ではなく理想でもなく平和な幸せをじわっと感じた瞬間でした。

店を出て少し変わった自分に気づきながらありふれた日常に戻っていきました。

次回は笑顔で「ありがとう」を伝えられるかな?

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