新白河駅前から白河小峰城跡を目指す。
スマホのマップアプリでは現在地から徒歩37分と表示されている。むむ、なかなかの距離だ。
小峰城跡の最寄り駅は東北本線の白河駅、ここ新白河駅から1駅先だ。1駅分を歩く計算か。
白河ラーメンでかいた額の汗が、福島の透明な風に吹かれて乾いていきます。
この日の白河市はかなり気温が高く、陽ざしも肌に強く刺さっています。
駅前を抜け幹線道路を通過し住宅街に入る。民家やお店が並ぶセンターラインのない1車線の道路沿いを進みます。
ガードレールのない歩道を歩いて行きますが、車の数は驚くほど少なく人影もまばらです。
限りなく続く1本道をひたすら歩く。視界の先には道路上に蜃気楼も見えています。
民家の中に真新しいアパートや居酒屋、神社などが登場し、ごく当たり前の風景を見ながら歩きます。
これこれ。これが私にとっての「旅の醍醐味」なのです。
外堀通り
旅行先では観光地を見ることも楽しいのですが、そこからちょっと外れた街並みを見ることも大事なポイント。
お土産屋さんが立ち並ぶ繁華街からちょっと入った住宅街、そこであくびをするネコを発見する・・・これサイコーです!
日常が垣間見える街並みを歩きながら、もしこの街に生まれていたらどんな人生だっただろう・・・などと妄想にふける。
これは立派な大人の趣味と言えます。・・・たぶん。
「白河高校前」というバス停がある。支柱が錆びた古い雨よけの下にそのバス停は立っている。何の変哲もないバス停なのだがミョーに良い。言うなればエモい。雨の日は高校生がこの屋根の下に20人くらいギューギュー詰めになるのかと思うとおかしくてたまらない。もしこの高校に通っていたとしたらどんな人生だっただろう・・・
・・・いや暑い!それにしても暑い! 持っていたペットボトルがそろそろ底をつく。なにしろ日影がない。
すると突然片側2車線の幹線道路に合流する。「外堀通り」というらしい。外堀!急にテンションが上がる。
東京の外堀通りと言えば東京駅の八重洲口(やえすぐち)を始点と終点とする皇居1周の道路のことを言うのだが、どうやらこの道は小峰城を周回していないようだ。
東北本線が見えてきた。この道のりは「弧」を描いている「新白河」ー「白河」間の線路を直線的にショートカットした形だ。
と・・・目の前を東北本線下り列車が通過していく。あ、これ、さっき乗るのを断念した13:57分新白河駅発列車だ。現在14:00、やっぱり追い越されたか・・・
すると「JR白河駅」の駅舎が徐々に姿を見せてきました。
方言
白河駅は三角屋根を有するレトロな佇まいの駅舎で、大正時代の洋風建築を思わせます。驚くことに木造のようです。屋根の色がとてもいい。
駅舎と隣接して「しらかわ観光ステーション」という真新しい建物があります。ちょっと覗いてみる。おっ、なんとレンタサイクルが無料らしい!
受付の女性に聞いてみると、クロスバイク的なものは有料だがママチャリ的なものは無料とのこと。さっそく申し込むと店内にいた男性が突然店の外へ走り出す。「外でお待ちください」と言われ待っていると、先ほどの男性がどこからか自転車を押してきました。
簡単な説明を受けてヘルメットを受け取ると、「お気をつけてー」と笑顔を見せてくれました。
なるほど、白河市周辺の方言はこんな感じなのかー。青森、岩手などの東北の方言とはまた違い、茨城、栃木などの北関東のイントネーションに近い。
東北の方言は一般的にひとつの会話の中に抑揚が織り交ざる感じだが、北関東の方言は会話の最後のみトーンが上がる。やはりみちのくの入り口ということで関東の影響が濃いのだろうか。
無理に標準語を使おうとせずに地元の言葉で接してくれる皆さんに心から感激しました。胸があたたかくなりました。
「方言」というものは将来的に消えゆく運命にあると私は思っています。白河の関が強大な関所であり、大きな文化の壁となっていた平安時代であればいざ知らず、テレビなどのメディアが発達し自転車でも県境を越えられる現代においては「方言」が混ざり合い、いずれ溶けていき、標準語に近づいていくことは避けられない。
行政も含めてもっと力を入れて積極的に方言を残す方策を考えほしいなあ。
なぜならこれも旅の醍醐味なのだから・・・
石垣
ヘルメットをかぶり自転車に乗る。ステーションで教えてもらった通りに東北本線の線路下にあるトンネルをくぐる。
トンネルから線路の北側に浮上すると、広大な庭園風の敷地の先に「小峰城跡三重櫓(こみねじょうあとさんじゅうやぐら、平成3年木造復元)」の雄姿が見えます。
ついに来た。左に城壁をみながら北小路を北上する。「小峰城跡 城山公園」と書かれた「藤門跡」を抜ける。
敷地内は「城山公園」となっており、多くの人たちが広大な芝生の上でシートを広げたりボールを投げたりしています。
ソメイヨシノが芝生の周囲を埋め尽くし、春は花見客で賑わう風景が容易に想像できます。
公園内の一画に「清水門跡(しみずもんあと)」という場所がある。自転車で門の手前まで行くと、目の前の巨大が石垣に圧倒される。石垣の上には優美な三重櫓が姿を見せている。空が青い。
自転車はここまでのようだ。門の脇に自転車停めて城攻めの体勢となる。
それにしても見事な石垣だ。この衝撃は岩手県の盛岡城の石垣に匹敵する。
現在14:35。帰りの新幹線は新白河駅発15:50だ。どう考えても時間切れで撤退する運命だ。
ま、行けるだけ行ってみるかー


