白河の関と城/3

その神社は白河の関跡から車で3分のところにあるらしい。左手には森、右手には広大な田んぼが広がっている県道76号線をさらに南下します。

しばらく走るとあっという間に両側が森に囲まれた狭い道路に変化し、前方に何かの標識が見えています。

「栃木県那須町」と書いてあったことに気づき、慌てて右側を見ると小さな鳥居が見える。ここだ! 

駐車場はないらしく少し離れた道路わきに車を停めて降りてみる。道路上に仁王立ちし南側を見ると「栃木県那須町」という標識、北側を見ると「福島県白河市」という標識がある。んー県境だ。大満足・・・

その神社は「住吉玉津島神社(追分の明神)」という。かなり古い、そして小さい。

神社の石段を登ると、木造家屋の中に木彫りの社殿が守られています。社殿を風雪から守るためにその外側に建物を建てるという、いわゆる中尊寺金色堂方式だ。

由来としては、関東・下野国野州(しもつけのくにやしゅう)側にあった「玉津島神社」と東北・陸奥国奥州(むつのくにおうしゅう)側にあった「住吉神社」が一緒となり、関東側の神社だけが残ったようだ。

坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ、平安時代の征夷大将軍)がここで休息した話や、源義経一行が通過した話などが残っているようです。当然松尾芭蕉も立ち寄ったに違いない。

石段を下りる途中、杉木立の隙間から見える青い空を仰ぎ見ると、爽やかな歴史の風を感じました。来てよかった!

時計を見ると11:30を回っている。行きたいところは山ほどある。日帰りだ、先を急ごう。

区切り

車に戻りいま来た道をUターン。3回程切り返す。せ、狭い・・・。車窓から神社に挨拶し次の目的地「小峰城跡」を目指す。

車で関東側から東北側に再突入すると、気のせいか空気が変わる気がします。確かに人間が勝手に作った「区切り」ではあるわけですが、これだけの歴史を重ねるとそれなりの重みというか、疑う余地がないというか、磁場までが変わっている気までしてきます。

東北の風を感じながら白河の関跡を通過し新白河駅方面に向かう。

さて、白河小峰城はどのルートで落とすべきか・・・このまま車で向かうか、それともこの車を返却して電車で向かうか・・・

よし、車は返しちゃおう! とあっという間に決断しました。理由は簡単、「東北本線」に乗りたいのさ!

30分弱で新白河駅前まで戻りカーシェアリングは終了。利用時間2時間43分、走行距離32km、利用料2,730円。ブルーのMAZDA2のエンジンを落とす。ありがとう!乗りやすくていい車だったよ。

急いで「新白河駅」まで行き、東北本線で小峰城跡への最寄り駅「白河駅」まで向かおう・・・いや、腹減った。この時点で12:20、そろそろ何か食べないと。

何を食べようか・・・と思うまでもなくもうすでに腹は決まっている。そう、ずっと気になっていたのさ。白河の関跡までの道中に何度も目にしたもの。どこも行列だった・・・

「白河ラーメン」

これ意外には考えられない状況下、駅前で立ち尽くしている私。

白河ラーメン

新白河駅周辺にもいくつか白河ラーメンのお店はあるのだが、行ってみるとどこも行列。こりゃ無理かも・・・

と、さっきまで店外まで行列だったお店が一瞬行列が無くなったところを発見。ラッキー。

店内に入ると中のウェイティングスペースのイスは満席、名前を書いてお待ちくださいと言われサインをする。3組待ちだ、まあこんなもんかな。

待合用の丸イスに腰かけて店内を見回す。壁には所狭しと有名人のサイン入り色紙が並んでいる。外見よりかは店内は明るく活気がある。

私は普段の生活で行列に並ぶことはまずない。皆無と言っていい。評判のお店が行列になっていたとしたら、隣のまずそうなお店に入るのも厭わない。世の中にはそんな人間もいるのだ。

そう考えると行列に並ぶこと即ち非日常を意味するわけで、普段の生活圏以外での待ち時間というものはそんなに悪い気はしないわけです。むしろ楽しい時間かもしれない。

食べている人たちを観察してみる。地元? 旅行? 全く区別がつかない。ファミリー、ソロ、友人、いろいろだ。

みんな何食べてんだろ? ん? なんか黒いもの食べてるぞ。っという間に名前を呼ばれる。どれどれー?とメニューを見ると普通の「ラーメン700円」から「しお」「みそ」の定番から、飯類までラインナップしている。

さっき目にした黒いラーメンはこれかー 「からしタンメン900円」だ。特性からし入りと書いてあって見るからに辛そうだ。ピンポンを押すと元気な大学生と思しき店員さんがオーダーを取ってくれる。

空腹すぎて「からしタンメン」と「大盛+150円」を頼もうとしていたが嫌な予感がして店員さんに「これって量は多いですか?」と質問すると「かなり多いと思います!」と笑顔で即答。じゃあ普通盛で!

歩くと定まりぬ

目の前に来た念願の白河ラーメンはやっぱりかなりの量だ。黒く見えたのは黒コショウか焦がしニンニクのせいか。

麺はちぢれ太麺。私はラーメンは全く詳しくなくうんちくを語るつもりはないが感想は2つだけ。からい!そしてメチャうまい!

ややピッチを上げて食べ終わり、汗だくで時計を見ると13時をちょっと過ぎている。

よし駅へ急げ! 歩きスマホで東北本線・新白河駅の下り時刻表を確認する。

11:57
12:52
13:57

ぐっ!1時間に1本ときたかー、いいぞー東北本線! いま13:05。小一時間待つか、それともいっそのこと一駅分歩くか・・・微妙なところだ。

よし歩いちゃえ! Googleマップで徒歩37分と出た。電車より早く着くと見た!

空は青く、白い雲をバックにツバメが舞っています。足はすでに白河駅へ向かって動き出しています。これが旅の醍醐味なのだ。

空を仰ぎ見ると、松尾芭蕉のことが頭をよぎりました。この空でこの風でこの気持ちで歩いたのかもしれない。

「白河の関にかかりて旅ごころ定まりぬ」(1689年6月8日 松尾芭蕉 『おくのほそ道』より)

ツバメが大きく弧を描く。次の目的地「白河小峰城跡」を目指す。

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