上田~小諸/1

久しぶりに日帰り旅行をしてきました。

目的地に選んだのが長野県上田市。戦国時代に真田氏が築城した上田城で有名な都市です。

私の住所地からのアクセス方法はいくつかあるのですが、今回は「北陸新幹線」を使うルートを選択しました。

新宿駅から湘南新宿ラインで大宮駅へ行き、大宮駅から上田駅まで北陸新幹線を利用します。

新幹線! 聞いただけでウキウキしますねー

事前にJR東日本の「えきねっと」で「新幹線eチケット」を購入していたため、自宅から上田駅までスマホだけで行くことが出来ました。

大宮駅の新幹線ホームで新幹線を待つ。9:09発の北陸新幹線『はくたか555号』。

ジェット機のような音が徐々に近づき、滑るように「はくたか」がホームに姿を現す。

陶器を思わせる光沢を帯びた濃い青の先端。和の伝統美をコンセプトにした「W7系」新幹線だ。

なるほど「はくたか」と言うだけあってなんとなく鳥っぽい顔だ。

新幹線旅行

新幹線に乗り込み座席を見ると、漆の色を思わせる赤い格子状の模様が入ったデザインの背もたれが目を引きます。

各席にそれぞれ一つずつコンセント設置されているのが今風です。

席に着き、まず最初にしたこと。

おやつですねー! そりゃそうでしょ、新幹線旅行だもの!

大宮駅で焼き立ての匂いにヤラレて買ってしまった『MIGNON』のクロワッサン。

まだ温かいパリパリモチモチのクロワッサンを食す。ムムッ、評判通り。

とその時、前席の上から顔を出し、こちらをじっと見つめる小さな子がいるというよくありがちなトラブル発生。

それはそれは羨ましそうに、恨めしそうにこちらを見ている。

いつまでもこちらを見ているので「うんま!」と小声で言うと、雷が落ちたように顔を引きつらせて消えていきました。

山と川

新幹線は大宮駅から「高崎」「軽井沢」「佐久平」「上田」と停車していきます。

北陸新幹線と他の新幹線との大きな違いは、おそらく車窓の風景でしょう。

私は進行方向右側の席から外の風景を眺めていましたが、とにかく山が近い!

高崎駅あたりから次から次へと山が現れ始め、どんどんこちらに近づいてくる。

極め付きは軽井沢駅のあたりから見える「浅間山(あさまやま)」。これはスゴイの一言!

頂上から裾野にかけてのすべての山肌と、裾野から新幹線の沿線までの徐々に人家が増えゆく様が手に取るようにわかります。

一般的な感覚では「山は遠くにあって眺めるもの」だと思うんですが、この周辺の人々にとっての山はごく身近な存在なのだろうということが肌でわかります。

進行方向左手には、長野県の中央部を南北に流れる「千曲川(ちくまがわ)」が並走しています。

「山」と「川」・・・戦国時代を生き残るための重要なファクターでした。

そして「城」、それぞれを上手に使った者だけが生き残る時代。

『上田合戦』はまさにその典型でした。

第一次上田合戦

「徳川家康」対「真田昌幸」の合戦。徳川勢7000余、真田勢2000弱と言われています。

圧倒的な数的不利な状況で、真田昌幸は上田城での籠城戦を決断します。

「上田城(うえだじょう)」は南を千曲川、他三方を河川や城下町を配した天然の要害です。

戦に勝つためには、攻め手、守り手どちらであっても相手を上回る作戦・工夫が必要となります。

・・・上田城に近づく徳川勢を待ち伏せしていた真田勢が最初の攻撃を仕掛ける。徳川勢は混乱するもすぐに体制を立て直し逆襲に転じると真田勢は後退し始め上田城に逃げ込む。敵を侮り勢いに乗じた徳川勢が上田城になだれ込むと待ってましたとばかりに反撃に出た真田勢に押されて徳川勢は城外に退却。ところが城外の城下町には障害物が配置されて迷路のようになっていた上さらに城下に火を放たれて大混乱となる。しかも周辺の山に隠れていた百姓たちが真田の旗を一斉に挙げ鬨の声を上げると周囲を完全に包囲されていると勘違いした徳川勢は大混乱に陥り北国街道を退却するも待ち伏せしていた昌幸の長男真田信幸の追撃を受ける。命からがら逃げ惑う徳川勢が川を渡り始めた時にあらかじめ堰き止めていた川を決壊させる・・・

工夫をした側と工夫をしなかった側の差は、兵力の差を超越してしまうという典型です。

双方の損害は、徳川勢1300名余、真田勢40名余という圧倒的な差を生みました。

車窓から見える山と川・・・陽を浴びて美しく光る山と川・・・

そんな時代があったなんて・・・夢のような穏やかさです。

過去と未来

我に返るともう佐久平駅を通過。もうすぐだ。

ところで前席のあの子はどうなった? 静かになっているぞ。

もう疲れて寝てしまったようだ。

時代というものについて想う。

戦国時代と現代との間に大きな溝があるように、あの子と私の間にも時代の差があるのだ。

戦国時代と私、そしてあの子。それは過去と現在、そして未来なのだろう。

悲しいような、頼もしいような。不思議な感傷を持ったまま、新幹線は上田駅に滑りこむ。

未来を生きるあの子は、いったいどんな夢を見ているのだろう?

たぶん・・・クロワッサンだ。

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