2月に入り街を歩いているとあちこちでチョコレートが華やかに売り出されています。
いわゆるバレンタインデーが近い訳ですがこの時期になると思い出す不思議なエピソードがあります。
私が小学生の頃の話。
友人と近所のスーパーの前で遊んでいたら着物を着たおばあさんに声をかけられました。
「こんにちは、坊やたち。私ね、チョコを買いたいんだけどどこに売ってるかわからないの。売り場まで案内してくれる?」
「いいよ!」と元気に答えた小学生の私はスーパーの中に入りチョコの特設コーナーにおばあさんを連れて行きました。
「ありがとうね。助かったわ」とおばあさんは売り場に並んでいた不二家のハートチョコレートを3つ手に取りレジで会計をしたあと私にこう言いました。
「これ、親切にしてくれたお礼よ。ありがとうね」と友人と私にチョコをひとつずつ手渡してくれました。
私とおばあさんはお互いに手を振って別れました。
・・・とこれだけの話なのですが年数が経てば経つほど疑問が沸いてくるようになりました。
そこで私が出した結論。
「あのおばあさんは私に会うために未来からやって来た人」なのではないか・・・
タイムマシン会社
いくつかの疑問点や違和感があるのですが私がタイムマシン説を採った理由をいくつか挙げてみます。
まず前提条件として未来のタイムマシン産業の状況から考察する必要があります。
タイムマシンで来るからには今から何百年後の世界からやって来ると思われます。
想像するに「タイムマシン会社」なるものが何百年後には存在しその会社と契約することで時間単位の料金を払って旅行しているはずです。
契約の際には当然、「歴史を変えてはいけない」とか「そこで買ったものを持ち帰ってはいけない」などの重要事項説明書を取り交わすと思われます。
契約が終了するといよいよ行きたい時代を西暦と日付と場所を細かく指定するはずなのです。
そこで必要となるのが「正確な時代考証」であり当時の洋服や話し言葉、使う通貨を行き先の時代にきちんと合わせておく必要があります。
なぜなら時代に合わない洋服を着ていたり話し言葉が不自然だった場合には現地で問題を起こす可能性があり歴史を変えてしまうという懸念が生まれるからです。
そこでタイムマシン会社には必ず「時代考証チーム」が存在するはずであり行き先の時代背景を詳細に調べてお客様にレクチャーするはずなのです。
コスプレミス
さてこのおばあさん、実は髪が真っ白で頭はお団子を結ってました。
ところが当時はおばあさんだと思い込んでいましたがよくよく思い出してみると顔が結構若かったんです。
顔というか表情なのか肌の感じなのかわかりませんが30代くらいではないかと思うのです。
「30代で髪が真っ白でお団子ヘアで着物を着ている」
これってどう考えてもおかしいですよね。
そこで私の結論は「時代考証チームがコスプレをミスった」ということです。
この当時はおばあさんでも着物を着ている人は珍しくほぼ洋服を着ている時代です。
おそらく時代考証チームは何百年前の旅行先時代の資料を調べる際に昭和の白黒映画、オズ監督やクロサワ監督の映画を検証しおばあさんのモデルを見つけそれをもとにお客様をコスプレさせたのではないか。
坊やたち
加えて気になるのが言葉遣いです。
「坊やたち」という呼びかけ方。当時にしても一般的な言い方ではなく小学生の私は違和感を抱きました。
イメージでいえばとんでもないお金持ちの奥様が子供に呼びかける言い方とでも言いましょうか。
でも確かに1950年代の白黒映画ではよくこういう使い方をしている記憶があります。
つまり私が小学生時代よりも30年程前の言葉遣いなのです。
ここでの私の結論は「時代考証チームが時代設定をミスった」ということになります。
時代考証チームはお客様から旅行先でコミュニケーションをとりたいという希望があればオプション料金で当時の話し言葉をレクチャーし当時の通貨を持たせてくれるはずなのです。
このおばあさんはおそらく「現地の人とのふれあい10分間コース」を契約し会話内容をすでに習得してからタイムマシンに乗り込んできたと想像します。
ところがちょっと残念なタイムマシン会社のために現地の子にバレちゃったんではないかと。
ちなみにおばあさんが持っているあとひとつのチョコはそっとごみ箱に捨てたはずです。時空を超えたものは持ち帰れない契約ですから・・・
そもそも論
いやいやそもそもの話、チョコを買うのになんで自分で探さないんだろう? という疑問があります。
わざわざ子供に声をかけて売り場まで案内してもらいますか? っていう話です。
以上のことを考え合わせるとおのずと結論が導き出されます。
あのおばあさんは「未来の世界からやって来た人」なのです。
さて誰が? 何のために? というところですがここで2つのポイントが思い当たります。
まず別れ際、私が手を振って去っていくときに私をずっと見ていました。友人ではなく私のことを。姿が消えるまでずっと。別れを惜しむかのように。
これって私に会いに来たということではないかと思うのです。
さらにおばあさんの顔です。なぜか初めて会った気がしなかったのです。
親近感があったというか、他人のような気がしないというか・・・そう、丸顔なのです。
私の家系の女系の顔な訳です。母親似というか・・・ということはつまり・・・
「私の子孫がご先祖の私に会いに来た」という結論になるのです。
最後にもう一つポイントがあります。
それは時代考証やらコスプレやらがビミョーなタイムマシン会社と契約したところ。
ちょっと予算をケチって格安旅行会社を利用した可能性が指摘されます。
これってまさに私の子孫であるという証拠といえるかも。


