介護と医療費控除

今年も確定申告の季節がやってきました。

会社員の方には縁遠く自営業の方などにはもはや年中行事になるこの「確定申告」。

ただ今まで全く縁のなかった会社員の方が突然出会う機会があるとすればそれは「医療費控除」になるのではないでしょうか。

本来会社員の方はお馴染みの「年末調整」をすることで1年間の税務処理が完結します。

ところが「今年は病院通いで10万円以上払った」などという場合には年末調整をすることで完結していた税金が戻ってくるのです。

ここで「年末調整」と「確定申告」の関係を一度整理してみましょう。

会社員の方は昨年の収入に基づいて毎月税金を天引きされています。これが源泉徴収です。

「年末調整」では1年間の納税額から控除されるもの、たとえば「生命保険料」「iDeCoの積立金」「住宅ローン」などを申告してその金額をすでに納めた源泉分から取り戻します。

ほとんどの会社では11月中に年末調整を提出すると12月分の給与で還付金が振り込まれます。

さらに医療費を多く払った年には「確定申告で医療費控除」を申請することで払っていた税金を取り戻すことができるのです。

生計を一にする

「医療費控除」の対象となる金額は、【(実際に支払った金額)-(保険金等の補填額)-10万円】になります。

ただし総所得金額等が200万円未満の方はその金額の5%になりますので対象金額は相対的に少なくなっていきます。

医療費の対象となる要件は2つあります。

1.「自分もしくは自分と生計を一にする配偶者やその他親族のための医療費」

2.「1/1~12/31までに実際に支払った医療費」

この「生計を一にするその他親族」というところがポイントで実際に同居している必要はありません。

つまり別居している「学生の子供」や「年金の少ない両親」がおり生活費の仕送りをしている実態があれば全て合算できることがポイントです。

また同居している場合では「明らかに独立した生活を営んでいる場合以外」は合算できます。

例えば「私(給与収入)、妻、子、父(年金収入)、母(父の扶養)」が全て同居していた場合、「私、妻、子」にかかった医療費と「父、母」にかかった医療費をすべて合算できることがポイントです。

「生計を一」というフレーズは税の申告をする上での頻出キーワードで勘違いしやすいところなのできちんとポイントを把握しておくことが節税につながります。

試算してみる

ひと世帯で収入源が複数ある場合、例えば夫と妻が両方とも収入がある場合などは基本的には収入の多い方で申請したほうがお得です。

というのは控除される金額は上記の【医療費控除の対象金額】に所得税率をかけた分の金額になるからです。

日本の所得税は「超過累進税率」といって収入が多ければ多いほど税率が「5%⇒45%」と上がっていく仕組みになっています。

例えば15万円の医療費だった場合、【15万円 - 10万円 = 5万円(対象金額)】だった場合で比較してみましょう。

所得金額がそれぞれ「夫:400万円、妻300万円」だった場合、それぞれの所得税率は「夫:20%、妻:10%」となります。

すると対象金額の5万円はそれぞれ「夫:1万円、妻0.5万円」の税額控除となり夫が申請したほうが5千円お得になるのです。

一方、医療費が9万円だった場合は上記の例では対象金額が「9万円 - 10万円 = 0円」となり申請できません。

ところが仮に妻の所得金額が150万円だった場合にはその金額の5%が対象金額となるため「7.5万円」が対象金額となり「9万円 - 7.5万円 = 1.5万円」が対象金額とすることができるのです。

この場合は妻が申請したほうがお得になるわけですね。

以上のように誰が申請するのがベストになるのかを一度試算してみることをお勧めします。

介護と医療費

ところで介護保険のサービスを利用している場合、医療費控除の対象になるサービスはあるのでしょうか?

対象となるサービスは決まっており以下の通りとなります。

まず居宅サービスの中でも「医療系のサービス」は全て対象となります。

「訪問看護、訪問診療、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、(他8サービスの計12サービス)」が対象となります。

また上記の医療系のサービスと併用していれば対象となるサービスとして、

「訪問介護(生活援助中心型以外)、デイサービス、ショートステイ、訪問入浴、(他14サービスの計18サービス)」が対象となります。

つまりヘルパーのおむつ交換だけが入っていた場合は対象となりませんが、ヘルパーのおむつ交換と訪問リハビリテーションを利用していれば全て合算した金額が医療費控除の対象となるということですね。

ただし医療系のサービスを利用していたとしても控除の対象とならないサービスもありますので注意が必要です。

「訪問介護(生活援助中心型)、福祉用具貸与、グループホーム、(他9サービスの計12サービス)」は対象となりません。

つまりヘルパーの掃除、洗濯と訪問看護を利用していた場合は訪問看護の利用料のみが控除の対象となるわけです。

知識で節約する

施設サービスの場合はどうでしょうか?

まず介護老人福祉施設(特養)などの福祉系の施設サービスは「施設サービス費(介護費、食費、居住費) × 1/2」が医療費控除の対象額となります。

一方、介護老人保健施設(老健)などの医療系の施設サービスは「施設サービス費(介護費、食費、居住費)の全額」が控除の対象となります。

これまでに挙げた以外のサービスが控除の対象かどうかは国税庁のホームページでも確認できますので一度目を通しておくと目からウロコかもですね。

その他にも控除の対象となるものがありますので列記しておきます。

交通費(〇):公共交通機関は交通費をきちんと記録しておきましょう。
タクシー代(△):やむを得ない等の理由があれば可。領収書を保管しておきましょう。
ガソリン、パーキング代(×):どんな事情でも対象となりません。タクシーを使いましょう。
おむつ代(△):医師の「おむつ使用証明書」が必要です。
予防接種代(×):治療ではないので対象外です。
健康診断、人間ドック(×):予防、健康維持のためのものは全て対象外です。
差額ベッド代(△) :個人都合での利用は×。大部屋の空きがなかった場合は〇、個室しかない病院の場合は〇になります。

以上、医療費控除と介護サービスについて見てきました。今年の申告に見落としはありませんでしたか?

この世の中は『知らない者は損をする』社会です。

調べる手間を惜しまずに家計の改善につなげていきましょう。

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