第8回|親が入院した!医療と介護のあいだで必要になる「お金と準備」

ある日突然、親が入院する・・・
その知らせは、家族の生活を一変させます。心配や不安に加えて、「これからどうやって費用を工面しよう…」という現実的な課題にも直面します。今回は、医療と介護が交わる入院・退院のタイミングに焦点を当て、準備のポイントを整理してみたいと思います。


◆ 入院にかかるお金は医療費だけじゃない

入院費用というと、まず医療費の自己負担が頭に浮かびますが、実際にはそれ以外の支出も多くあります。
たとえば、70歳以上の方が2週間入院した場合、高額療養費制度を利用しても自己負担分はおおよそ5〜6万円。これに加えて、1日3食の食事代、日用品、着替え、家族の交通費などで数万円かかり、合計10万円前後になることも少なくありません。

さらに、差額ベッド代(個室や二人部屋)や、保険のきかないリハビリ用品などが加わると、負担はさらに増えます。事前に病院へ確認しておくと安心です。


◆ 高額療養費制度と「限度額適用認定証」

急な入院でも医療費を抑えるのに役立つのが高額療養費制度です。
特に「限度額適用認定証」を事前に発行しておくと、窓口での支払いが最初から自己負担限度額にとどまります。保険証と一緒に保管しておくと、いざという時に慌てずに済みます。


◆ 退院後にかかる介護サービス費用

退院はゴールではなく、新しい生活のスタートです。
自宅で過ごす場合には、訪問介護や訪問看護、デイサービスなど、介護保険のサービスを組み合わせて利用します。要介護認定を受けていない場合は、退院前から申請を始めておくとスムーズです。

病院の医療ソーシャルワーカー地域包括支援センターに相談し、退院後の生活設計を早めに整えておくことが大切です。


◆ 自宅改修や福祉用具の活用

在宅生活を安全に続けるために、自宅の環境整備が必要になることもあります。
介護保険では住宅改修費20万円(自己負担1〜3割)までが支給対象です。手すりの設置、段差の解消、浴室の改修などが代表的です。福祉用具もレンタル制度を使えば、初期費用を抑えられます。


◆ 医療ソーシャルワーカーの力を借りる

入院中に頼りになるのが医療ソーシャルワーカー(MSW)です。
高額療養費制度や介護保険の手続き、退院先の施設や在宅サービスの情報提供まで幅広くサポートしてくれます。「何から始めればいいのかわからない」というときは、まず相談してみましょう。


◆ 「もしも」に備える資金づくり

突然の入院に備えて、生活費とは別に医療・介護の予備資金を持っておくと安心です。目安は、3〜6か月分の介護サービス利用料と生活補助費。退院後の生活立ち上げ期に大きな助けになります。


◆ おわりに

入院は医療と介護の切り替え点です。
制度や費用の全体像を知っておくことで、不安を少しでも軽くできます。

・入院費は自己負担だけでなく雑費も含めて見積もる

・制度を活用して負担を軽減する

・退院後の生活設計を早めに進める

・専門職の力を積極的に借りる

こうした準備が、家族の安心を守る第一歩になります。


◆ 次回予告

「第9回|“介護離職”を防ぐために知っておきたいお金の話」
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