今回は誰でもいつかはお世話になる「介護ベッド」についてのお話です。
介護保険法上では「特殊寝台」と呼ばれます。
年齢を重ねていくと、今まで出来ていたことが徐々にできなくなっていきます。
身体の機能が落ちたり、認知機能が落ちることが原因です。
日常生活の中では「布団からの起き上がり」が大変になることが多く、そのタイミングでの転倒も多くなります。
そのような身体状況になると担当のケアマネジャーから「介護ベッド」の利用を提案されることがあります。
今まで布団で寝ていた方はもちろん、一般のベッドで寝ていた方が介護ベッドと聞くとほとんどの方がびっくりしてしまいます。
病院でしか見かけないあの電動ベッドが自宅の寝室に入るなんて! まったく想像できないんですね。
しかも値段も高いに違いないと皆さん思っているため、戸惑う方が多い印象です。
そこで今回は「介護ベッド(特殊寝台)」の種類や選び方、値段などをお伝えします。
モーター数
介護ベッドを導入する際にまず最初に出てくる言葉が「モーター」という言葉です。
1モーターとか2モーターという言い方をします。
これはベッドに実装されているモーターの個数を表しています。
モーターの個数はベッドのパーツ、「背上げ」であったり「高さ調節」などをそれぞれ単独でコントロールできる数になります。
ベッドの主な可動部分は「背上げ」「膝上げ」「高さ調節」の3つになります。
現在のご本人の身体状況から、この3つのどの機能が必要かを検討してモーター数を決定します。
「高さ調節」だけが必要であれば「1モーター」、「背上げ」だけが必要であればやはり「1モーター」となります。
「高さ調節」と「背上げ」など2つの機能が必要であれば「2モーター」、3つの機能なら「3モーター」となるわけですね。
業者さんによっては「1+1モーター」というものもあり、「背上げ」と「膝上げ」などを連動させて1モーターで動かせる機種もあります。
モーター数は多すぎても少なすぎても不適切になり、値段にも直結するためしっかりと選別する必要があります。
機種選びのポイント
それではどのような身体状況でどの機能が必要なのかを挙げてみます。
「高さ調節(ベッドの高さを変えられる)」
・立ち上がりを楽にしたい
・介護者の身長に合わせて腰への負担を減らしたい
・高さへの不安を減らして布団と同じ目線にしたい
・ベッド下の掃除を楽にしたい
「背上げ(背中が上がるリクライニング機能)」
・楽に起き上がりたい
・ベッド上でテレビを観たり食事をしたい
・介護者の食事介助を楽にしたい
・寝たきりの意識から解放できる
「膝上げ(膝の部分が持ち上がる)」
・背上げ時のずり落ちを防ぎたい
・足のむくみを解消したい
・楽に起き上がりたい
これらが当てはまる場合、介護ベッドの利用で生活の質が向上する可能性があります。
ベッド付属品
介護ベッド(特殊寝台)と言われるものはベッドの本体だけをさします。
同時に使用されるものに「オプション品」があります。
介護保険法上、「特殊寝台付属品」と呼ばれます。
・マットレス
・サイドレール
・ベッド用手すり
・テーブル
などがオプション品になります。
「マットレス」はリバーシブルになっていて、それぞれの硬さが違う仕様のものが標準モデルになります。
それ以外にも硬さや素材によりいろんな種類のものがありますので、専門家に希望を伝え、いくつかお試しをしてから決めることができます。
「サイドレール」は転落防止のために付けるもので、布団のずり落ち防止にもなります。
これは一見手すりに使えそうですが、強度が弱いため体重をかける用途には適していません。
その場合「ベッド用手すり」をサイドレールの代わりに設置します。
こちらはよく病院で見る機会があるもので、ゲート状に90度開閉し、立ち座りをしっかりとサポートできます。
福祉用具レンタル
一日の大半をベッド上で生活する方に欠かせないものが「テーブル」です。
病院でよく見かけるものとしては、正面から見ると「コ」の字の形状をしたテーブルです。
ベッドの横から差し込むように入れることで、ベッド上で食事ができるようになります。
ところで、介護保険で介護ベッドを使用する際には、ほとんどの方がレンタル(福祉用具貸与)を利用します。
購入すれば20万円程度の電動ベッドが、レンタルであれば一式で月に2,000円以下(1割負担の方)で利用できます。
さて、私が過去に介護ベッドをお勧めした際にご家族が難色を示す一番の理由は「部屋が狭い」というものでした。
病院にある、あの電動ベッドがこんな狭い部屋に入るはずがない、そう思う方がほとんどです。
ところが実際の介護ベッドはたたみ一畳ほど、想像するよりコンパクトで圧迫感もさほどありません。
やや大掛かりな片付けが必要な場合もありましたが、ほとんどのお宅では問題なく導入できました。
あるとないとでは大きな差を生む「介護ベッド」、利点をよく理解して導入し、ご本人、ご家族ともに快適な生活を目指しましょう。


