無駄はムダ

世の中には無駄なものが存在します。

本当に無駄なのか、無駄と言われているだけなのか。

少しでも役立っていれば無駄ではないのか。

本来の役割ではないが、別な意味で役立っていれば無駄ではないといえるのか・・・

さて、手のひらを開いたまま上に向けて、親指と小指の先をくっつけてみましょう。

手首の辺りに肘に向かって1本スジが浮き出ましたか?

このスジ、「長掌筋(ちょうしょうきん)」という筋肉なんです。

そしてこの筋肉、「無駄」なのです。

日常生活でほぼ不要、なくても全く困らない筋肉なんです。

「あっ、わたしにはない!」と言う方・・・

そう、これには秘密があるんです。

長掌筋

この長掌筋という筋肉、実はサルにはもっと発達した長掌筋が装備されています。

この筋肉は木登りに使う筋肉なのです。

人類の祖先、類人猿時代には使われていた筋肉が環境の変化で次第に使われなくなる。

そして長い年月をかけて徐々に退化していく。

その過程にある、筋肉だと言われています。

なんか悲しいですね。哀愁を感じます。ちょっと応援したくなる感じ。

日本人の約5%がもうすでに長掌筋がなくなっていると言われています。

「わたしにはない」という方。ご進化おめでとうございます。

でもこの悲しい筋肉。他に活躍の場はないのでしょうか。

いや、あるんです。スゴい活躍の場が!

トミー・ジョン手術

往年の大リーグファンであれば、「ジョーブ博士」をご存じかと思います。

フランク・W・ジョーブ博士は、「ひじ」を壊したピッチャーに世界で初めてメスを入れた医師です。

そして世界で初めて手術を受けた大リーグ投手の名前を冠して「トミー・ジョン手術」と呼ばれています。

どこかで聞いたことがある?

そうです。大谷翔平投手が2018年に受けた手術なんですね。

1年間のリハビリ後の大谷選手の活躍を考えると、いかにこの手術がスゴいのかがわかると思います。

この手術は、壊れたひじのじん帯の代わりに「別な筋肉」を移植して機能を回復させるというもの。

そしてこの移植元に使われるのが、なんと本人の前腕にある「長掌筋」なのです。

いわゆる無駄な筋肉が、野茂投手やダルビッシュ投手から大谷投手まで活躍させているんです。

言うなれば、地方に左遷された会社員が左遷先でとんでもない業績を上げるようなもの!

無駄なこと

私にとっても無駄なことってなんだろ? と考える。

あまり思いつかないんです。

私はもともとどちらかと言えば効率を重視するタイプで理系サイドの人間なので、無駄なことは省いていくことが多いです。

エクセルを使って仕事を楽にしたり、手順を最適化して時間を短縮したり。

要は早く家に帰りたいだけなんですが・・・無駄をなくして無駄な残業をしたくないのが本心。

でもそれは仕事面だけの話で。

プライベートでは無駄なことだらけというか、無駄なことばかりしている気もしないでもないわけです。

では何が無駄なことだろうと考えてもあまり思いつかない。

では反対に絶対に必要なことって何だろうと考えてみます。

例えば趣味的なことってどうなんだろうと。

本当に必要なの? と。

生きるということ

私で言えば、野菜を作ったり、自転車を整備したり。

ルービックキューブをしたり、ミステリー小説を読み耽ったり。

移動中に見つけた野鳥をスマホで調べたり、お寺で見つけた家紋を写真に撮って自宅に戻ってから「家紋の事典(高澤等)」で調べてひとり悦に入っていたり・・・

なんてこと、本当に必要なこと? と言われれば、必要なことではないなーと思うんです。

そう考えると、食べることや呼吸をすることにも疑問がわいてくるようになる。

そして行き着く先は「生きる」ということ、そして「生まれてきたこと」に向かっていくことになってしまう。

これってどうなんでしょう? 息苦しいことこの上ない。

考えることは悪い事ではないですが、もっと楽に、幸せに生きていきたい。

誰もが抱く本音だと思います。

無駄なことを考えること・・・これが一番のムダなのです。結論!

ある一日

仕事をほったらかして、パーカーをはおり散歩に出かけてみる。

花が一輪だけついた桜の木の下に腰かけ、ぼーっと空を見る。

「ムダだなぁ」と思う。

犬を散歩させる人、ジョギングしている人。

それぞれどんな人生だったんだろうと考える。

「ムダだなぁ」と思う。

下を見てみると、自分の革靴が汚れていたことに気づく。

おっと足元につくしを発見。スマホを取り出し、拡大して観察する。

「ムダだなぁ」と思うその時、

スマホを持つ左手首に一筋の筋肉が浮き出る。

力強く、一生懸命に、まっすぐと伸びている。

「ま、いっかー」と思うんです。

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