~通帳・保険・年金…「知らない」ままで困らないために〜
◆ はじめに
「お父さんが入院したけど、通帳も印鑑も場所が分からない」
「介護サービスを始めたいけど、本人の年金額すら知らない」
——そんなご家族の声、私はケアマネジャーとして日々お聞きしています。
いざ介護が必要になると、“親のお金のこと”に家族が急に関わらなければならない瞬間が訪れます。
今回は、介護とお金の両面を見てきた現役ケアマネFPとして、
「どこまで把握しておくべきか」「どうやって話を切り出すか」についてお伝えします。
◆ なぜ“親のお金”を知っておく必要があるのか?
介護が始まると、日々の生活費に加えて、
・介護保険サービスの自己負担(1〜3割)
・デイサービス等の食費やおむつ代、通院費などの実費
・住宅改修や福祉用具レンタルなどの費用
など、定期的に支払いが発生します。
その時に「誰が払うのか」「親のどこにどれだけ資金があるのか」が不明だと、家族は非常に困るのです。
◆ 最低限、把握しておきたい5つの項目
把握すべき項目 : 確認の目的・理由
① 銀行口座と通帳の場所 : 介護費用の支払いや年金受取の口座がどこかを知る
② 年金の種類と金額 : 月々の収入がいくらか把握しておく
③ 保険の内容(介護・医療) : 介護保険・医療保険の対象になるサービスを確認
④ 資産の有無(不動産・預金) : 施設入所や将来の相続対策にも関わる
⑤ 借金やローンの有無 : 返済が残っている場合、相続時のリスクとなり得る
📝 これらは、いずれ「介護サービス契約」や「成年後見制度の利用」時に問われる情報です。
◆ どうやって聞き出す? “デリケートな話題”の切り出し方
「親のお金のことを聞くなんて、失礼じゃないか…」
そう思って話せないまま、緊急時に困るというご家庭が多くあります。
現場での成功例をもとに、やさしい切り出し方をいくつかご紹介します。
💬 話し方の例
「最近は自然災害も多いし、何かあったときのために家族で情報をまとめておきたいんだ」
「通帳とか保険とか、もし倒れたときにどこにあるかだけ教えてくれる?」
「老後の準備って、私も考え始めたんだけど、お父さんたちはどうしてるの?」
💡 ポイントは、“親を守るため”という立場で、不安や敬意を込めて伝えることです。
◆ 実際によくある「困ったケース」
親が意識障害で倒れたが、通帳・カードの暗証番号が分からず、入院費が払えなかった
認知症が進んでから預金や保険の情報が分からなくなった
子が“勝手に管理した”と親戚から疑われ、きょうだい間のトラブルに発展
🛑 こうした事態を防ぐためにも、「元気なうちに話す」ことが何より大切です。
◆ 家族で使える「お金の情報整理シート」もおすすめ
資産や口座、保険の情報を書き出すだけのシートを用意しておくと、
親子の会話のきっかけにもなりますし、いざという時の備えにもなります。
(※このシリーズと連動した「お金と資産の見える化チェックリスト(PDF)」も今後ご案内予定です。)
◆ まとめ|「元気なうち」が、いちばん話しやすい
お金の話は、後回しにしがちで、気まずさもあります。
でも、家族が困るのは、いつも“知らなかった”ときです。
今ならまだできること、話せることがたくさんあります。
介護のことだけでなく、お金のことも、“家族の安心のために”整理しておきましょう。
▶ 次回予告
第3回|介護認定を受けるには?手続きと費用の実際
——介護が必要そう…と思ったら。どこに相談? どんな手続き? そして、かかる費用は?

