夜の街をゆく

この数週間、仕事がなかなか終わらず残業をする日が増えていました。

私は残業をすると極端に能率が下がる体質のようで、17時30分を過ぎると途端にキーボードを叩く指が動かなくなります。まるで魔法にかかったかのように。

そんな理由もありつつ、遅くても18時には退社するのが常なのですが、先日は退社がかなり遅くなってしまいました。

真っ暗な中を自転車で走り出してから、ふといつもと別なルートで帰ってみようかと思い立ちました。

通常の帰宅ルートは最短距離を狙っているため裏道が多く、街灯もあまりないため夜間は危ないという理由もありました。

そこでやや遠回りになりますが明るい道を選んで、

事務所→大きい公園→A団地商店街→B団地商店街→大きい公園→C団地商店街→駅前通り→自宅

という、「団地夜景ツアー」とも言うべきルートで帰ってみました。

さほどのことはないと思っていたのですが、これは予想に反してとても面白かったんです。

まず街灯に照らされた公園の中を通り抜けます。

LEDの首輪をつけた犬を散歩する人、その光が広大な公園にまばらに浮かんでいて幻想的です。

公園を抜けるとA団地の商店街が見えてきます。ここは事務所から一番近い繁華街になります。

この並びにはクリニック、郵便物、銀行などがあり昼は賑やかなところなのですが、夜は一変、シャッター通りと化していました。

その先にひときわ明るく光っていたのがB団地のスーパーマーケット。深夜1時まで営業しているようです。

帰宅途中の会社員が足早に入っては出てきます。店内から漏れる照明には暖かい光を感じます。

真っ暗な中にホッとできる光をもたらすスーパーマーケットは、地域の住民にとって重要なインフラであることがよくわかります。

団地を抜けると公園の遊歩道を通り抜け、そのまま幹線道路の上にかかる歩道橋を通過します。

自転車を停めて下の道路を見ると、ヘッドライトが長く連なり遠くまで渋滞しているようです。

いつもの風景・・・夜はこんな感じなのかー

初めて見る風景。全く知らない街のようでした。

C団地に囲まれた大きな公園の中を通ります。ここは人影もまばら。寂しいを通り越して少し怖いかも。

戸建てが並ぶ住宅街に入ると、家庭から漏れる夕食の匂いに完全にヤラレます。

焼き魚、カレーライス、焼き肉・・・あーもうお腹が空いたー

生垣の隙間から家族の団らんがうっすらと見えます。黄色い照明がカーテンから漏れています。

夜に外から他人の家を見るとなんで物悲しくなるんだろう。なぜかちょっと切なくなる。これ、いつも思う。

家族が恋しくなるのか、子供の頃の記憶が蘇るのか、そこはわからないまま。

月がきれいなことに気づきました。そういえば少し明るい夜です。

こんな経験も、こんなことを感じたということも、数日もすれば記憶からなくなるんだろうなぁ、などと考えると少し悲しくなりました。

月の光に照らされて夜道を走っていくと、駅前の眩しいほどのネオンが見えてきます。

生きていく上では不要なほどの過剰な光。今日はひときわ眩しく感じました。

今回、事務所のある地元の夜の姿を初めて見ました。

私たちが知っている職場付近の風景というものは基本的に昼間の姿、明るくて活気のある風景なわけです。

ところが夜になると昼には活気を見せていたお店が真っ暗になっていて、昼にはひっそりとしていたお店が逆に活気を見せていました。

街というものは昼と夜とでは全く違う表情を見せるということを改めて感じた出来事でした。

そして夜というものの意味についても考えさせられました。

昼には考えないようなことを深く考えたり、過去や現在についても思いを馳せる時がありました。

夜の散歩もいいかも、なんて考えてみたり。

ぜひ一度、残業ついでに職場付近の商店街を歩いてみてください。

自分の中に湧き上がる、不思議で素敵な感情に出会えるかもしれませんよ。

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