火もまた涼し

先日、会社の事務手続きがあって隣の市まで行く機会がありました。

普通は電車で行くべき距離なのですが、自転車で往復してきました。

片道1時間ほどかかるのですが、そのうち約30分間は川沿いのサイクリングロードを走ります。

信号もなくノンストップで走ることが出来るサイクリングロードは快適そのもの!

キラキラ光る多摩川がひときわ眩しく、冬の透き通った青空がどこまでも続いています。

スピードを上げる。ギヤを上げる。スピードをグングン上げる。

川面のキラキラは乱反射し、サングラスの青色が虹色に変わる。

なんて気持ちいいんだろう! これだから電車という選択肢はないのよ!

そんな時でした。それは突然やってきました。

・・・頭がかゆい・・・

サングラス

無意識に頭に手をやると、そこには分厚いヘルメットが立ちはだかります。

・・・存在を忘れてた・・・突き指しそうになったよ

実は自転車用のヘルメットは穴だらけで、頭を効率的に冷却できるように設計されています。

いかんせん、穴が小さく指が入らない。

さてどうしよう・・・

停まればいいって? せっかくのノンストップコース。停まりたくないのが人情ってもの。

そうか! 以前に舞妓さんは頭皮がかゆくなったらかんざしでツンツンすると聞いたことがある。

これだ! サングラスがあるじゃないか!

おもむろにサングラスを外す。うおっと、風で持っていかれそうになる。

30km/時くらいの速度で走っているので、想像以上の風圧を感じます。

心頭滅却すれば

サングラスを落とした日にゃ、それこそノンストップどころの話ではない。

大人しく目元に装着しなおす。しぶしぶ。

さてどうしよう・・・

さっきよりかゆさが増した気がする。んーそんな気がする。たぶん。

えーっと、こんな時に思い出す言葉があったはず。

しんとうめっきゃくなんとか・・・

「心頭滅却すれば火もまた涼し(しんとうめっきゃくすればひもまたすずし)」だ。

無念無想の境地に至れば、火でさえも涼しく感じるという。

かゆいと思うからかゆいのだ。これは煩悩なのだ。かゆくない。

ところでこれって誰が言った言葉だったっけ? なんか偉い人が火事の時に言ったんだっけ?

梅酸渇を医す

いやいや織田信長に攻められたお坊さんが、火が迫る中で言い放った言葉だったか?

なんてことだ。熱かっただろうに。

自分なんか夏の猛暑にはさんざん「暑い」を連発している。1日100回は言う。

歴史書を読むとこの手の武勇伝的な挿話がちょいちょい出てくる。

中でも『三国志』などはその最たるもの。

肩を怪我した武将が麻酔もなく手術中、顔色ひとつ変えずに囲碁を打つ。とか。

軍隊の行進中に水がなくなり喉がカラカラになっている兵隊たちに、将軍が「もう少しで梅林があるぞ!」と嘘を言ってよだれがいっぱい出て来て行軍を続けられた。とか。

祈祷をして風向きを変える、雨を降らせる。などなど。

実際にあったかどうかは別として、読む人を惹きつけるのは間違いない。

・・・そういえばこんな大河を渡るシーンは歴史書によく出てくるなー

あれ?

川はこんなにキラキラして平和そのものなのに、いったん戦乱となると戦の舞台になる。

横目には河原で散歩をしたり野球やサッカーをしているのが見える。平和だねぇ。

おっ、サギがいるぞ。大群だ!

コサギかチュウサギか、どっちだろう? いつも迷う。

くちばしをよく見ればわかるんだがなー、遠くてよく見えない。

体が熱くなってきた。上着のジッパーを少し開ける。風が背中に抜ける。

あれ? 河原の茂みにいるのはネコ? あっ! タヌキ! 尻尾がザ・タヌキだもん。

こんな寒いのに冬眠はしないのか。ちょっと元気がなさそう。

こんな寒い日は私から「心頭滅却」という言葉を送ろう! タヌキくん! がんばれ!

あれ? なんで「心頭滅却」を考えたんだっけ?

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