最近、フォーマルな場に参加する機会がありました。
ブラックスーツを着て1日過ごす・・・
それだけで時間の流れが変わり、非日常の緊張感に背筋が伸びる気がします。
一年中ポロシャツで仕事をしている身にとっては、たまにはこういう機会も必要かと思ったりもします。
ただし、ひとつ問題があるんです。
実は私、ネクタイが苦手なんです。
なんて言うと、ネクタイのあの窮屈さが苦手で・・・と思われがちです。
でも私の場合はそういう意味ではなくて、技術的にネクタイを上手に着けられないんです。
ベルトの前に下がる2本のネクタイのバランスがうまく取れず、太い方が極端に短くなったり、逆に長すぎたりするわけです。
修正しようと何度がほどいてまた着け直すんですが、やってもやってもバランスよくできないんです。
大剣と小剣
ネクタイというものは、ご存じの通り長さ150cm位の1本の帯状のもの。
両端が尖がっており、幅が広い方を「大剣」、狭い方を「小剣」と呼びます。
スタイル的には、この大剣がちょうどベルトのバックル前に位置するのがベストと言われています。
私くらいの身長であれば、大剣がベルトのバックル前に来ると、小剣は大剣の位置よりやや上に隠れる形になります。
この位置に収まれば大満足なのですが、これがまた難しい!
1回で決まるなんてことはまずなく、ひどい時には10回以上やり直すという体たらく・・・
他の人たちはどうやってんだろ? 気にはなるが誰かに聞いてみたこともない。
毎朝毎朝、こんな儀式みたいなことを長時間やっているのは時間の無駄なわけです。
必ずコツがあるはず! とネットで調べてみると、方法が2つ出てきました。
「結び方を変える」と「位置を覚える」の2つらしい。
コツをつかむ
結び方を変える方法というのは、ネクタイの結び目にかける長さを変えることで大剣側の長さを調整するもの。
ネクタイの結び方には実は数種類あり、一般的な「プレーンノット」から「ダブルノット」「ウインザーノット」「セミウインザーノット」など、ややマニアックなおしゃれな結び方があります。
これらは首の前にある結び目の大きさや形が変わるため、全体的なネクタイの長さが変わるんですね。
ただしこの方法、ネクタイを新調した時に長さを把握するためにやるもので、毎日の儀式でのコツにはなり得ない。
私のように結び終わってからヤラかした場合には全く無意味なんです。一回ほどかなきゃならないので。
そうなると方法はひとつ。位置を覚えるしかない。
ネクタイには大剣と小剣の間に切り返しのような縫い目があり、最初に首にかけた時にそれが見えるんです。
首にネクタイをかけて大剣と小剣を左右に下げた時に、小剣側に首をひねると縫い目が見えるんですね。
つまりいい感じに結べた時の縫い目の位置を覚えておくことで、次回からの位置の目安にするという方法なんです。
画期的な方法のようですが、この方法はなかなかうまくいかないんです。
組織の象徴
まず縫い目を同じ位置にしたとしても、その後に大剣側をグルグルと巻いた時の締め具合で長さが大きく変わるんですね。
それってあなたの場合だけですよね? と言われればそれまでの話なんですが、かなり当日の体調に依拠してしまう。
というわけで、明確なコツというものは体得できないまま今日まで生きてきたという現実があるのです。
結局「慣れるしかない」という身も蓋もない結論に落ちる。まあそうだろね。
なんでその歳までネクタイに慣れずに生きてきたのか、と訝しく思う方々もいると思いますが、これには理由があります。
私は大学を卒業するその時点から、ネクタイを締めない仕事を選んできました。
というかネクタイをするような仕事を避けて生きてきました。
というかネクタイだけはしたくないと思って生きてきました。すみません・・・ネクタイさん。
あの拘束されてる感がどうしてもイヤで、なんかこう、組織の象徴みたいな・・・
そんなわけで、私の「ネクタイを締める経験値」としては新卒1年目の秋ぐらいなものと言っても過言ではないわけです。
2つの人生
帰りの電車に揺られ、周りの会社員を見る。
それぞれのネクタイに、それぞれの汗と涙がしみ込んでいそうだ。
もしネクタイをする仕事を選び、ネクタイとともに組織で生きていたとしたら・・・
いったいどんな人生だっただろうか・・・
同期より早く出世しようとネクタイを緩めて残業を頑張ったりとか。
宴会の幹事を任されネクタイを頭に巻いてカラオケをしたりとか。
うまく出来ない自分に疲れて下を向き、電車に揺れるネクタイが涙で滲んだりとか。
さて、どっちがいい人生だっただろうか?
そりゃいまの方がいいに決まってるさ! ネクタイなしの毎日は快適だぞ!
たまに会うぐらいの距離感がいい感じ。そんな関係もあるのさ。
またいつの日か、元気で再開しよう! ネクタイさん!


