ポコポコポコポーン

私は匂いに敏感なたち、わりと鼻がいい方です。

そのためキツめの匂いや化学的な匂いがやや苦手です。

普段仕事をする事務所にも無臭を求めたいところですが、築年数の関係でいろんな生活臭がしてきます。

その対策として普段から消臭剤を使用しているのですが、香りを発することなく消臭してくれる「消臭ビーズ」を使っています。

「香りでごまかさない」っていう商品ですね。

この消臭ビーズというものは時間が経つと徐々に小さくなり硬くなってしまいます。

1cm程度だったビーズが2mmくらいまで小さくなり、消臭効果がなくなります。

この商品の「詰め替え品」があることは知っていましたが本体を再購入したほうが安かったため、いつも本体を買っており、終わったものはケースごと廃棄していました。

今ではそれをとても後悔しています。

なぜなら貴重な「ポコポコポコポーン」の機会を逃していたことに気づいたからです。

なにこれ!

たまたま消臭ビーズの詰め替えが安くなっていたため今回は購入してみました。

室内いたるところに置いてある容器をすべて回収し、容器の下にたまって小さく硬くなったビーズを取り出し、水洗いしてから詰め替えビーズを補充しました。

詰め替えビーズが入ったパウチのジッパー部分を外しゆっくりと傾けていきます。

おー、透明なビーズがキラキラと輝きながら徐々にケースにこぼれていきます。

すると! 経験したことがない感触! なにこれ!!

ビーズが弾むわ弾むわ! うわー楽しい! あっ1粒どっかに飛んでったー!

詰め替える前の自分のテンションの低さはいったい何処へ?

なるほど注意書きにこぼれないように注意と書いてあったのはこのことかっ!

この感触、この音、何と表現すればいいんだろう。

あえて表現するとすれば、んー・・・「ポコポコポコポーン」だろうか。

この楽しさ、ワクワク感、テーマパークにアトラクションがあってもいい感じ。

これを職業にして一生これで食っていきたい感じ。

もっと早く経験したかったと深く後悔しました。

吸水性ポリマー

飛んで行ったビーズをようやくプリンターの下から発見し、まじまじと観察してみる。

美しい・・・透明で光を帯び、そしてぷにゅぷにゅしている。

指でつぶしても元に戻る。今度は思いっきりつぶしてみるがびくともしない。

久しぶりに心を奪われる物質に遭遇したことに感激しました。

さっそく成分をネットで調べてみました。

どうやらビーズくんの正体は「吸水性ポリマー」というもの。

これってどこかで聞いたことあると思った方。そうです、紙オムツなどに使用されている吸水成分ですね。

自分の重さの数百倍の水を吸収して膨らむという頼もしいヤツです。

消臭の仕組みとしては消臭成分を含んだ水分を吸水させたビーズから成分を蒸発させながら空気中の悪臭を分解するというものらしいです。

なるほどそれで徐々に小さくなっていくわけですね。

思い出の匂い

匂いについては以前から感じていたことがあります。

それは匂いを化学的に再現する方法はないのだろうかという事です。

世の中のあらゆる匂いを成分分析して人工的に作ることができればいろんなことに活用できます。

映画館でシーンに合わせた匂いを出して楽しんだり、パソコンで香水や料理の匂いを確認できたりするでしょう。

なかでも私が最も需要があると思っているのが「人の体臭」の再現です。

例えば大好きなおばあちゃんの匂いをあらかじめサンプリングしておいて後で再現できるようになればすごいです。

おばあちゃんが亡くなった後でも精神的につらい時や癒されたいときには思い出の匂いを出して目を閉じる・・・

それはまるでおばあちゃんがそばにいるかのよう!

願わくば、これがスマホくらいの大きさの機器になりスイッチAでサンプリング、スイッチBですぐに匂いが出てくる・・・みたいなものが開発されてほしいところです。

復活

匂いは化合物の組み合わせなので理論上では再現可能だと思います。しかしまだまだ時間が必要だと思います。

ただ、世の中の色が「赤、緑、青」の3色の組み合わせですべてが再現できるのと同じように、匂いも数十種類の基本の匂いを組み合わせることで再現できるだろうと言われています。

そういえば亡き両親の匂いってどんなだっただろう。もう一度嗅いでみたいなあ・・・

などと夢想しながらふと流し台の排水口を見てみると、ん! なんかキラキラしてる?

なんとさっき洗ったケースからこぼれた小さなビーズが排水口にたまり、全部もとの大きさに戻っていました。

排水口の黒いカバーが大量のビーズで持ち上げられて外れています。

そういえば過去に自宅のトイレに誤ってオムツを流して詰まってしまい、十数万円の修理代を払っていたご家族があったことを思い出しました。

なるほどこれが排水管の途中で起こったら悲劇だと実感しました。

と同時に、元の大きさに復活してキラキラしているビーズくんの姿を見ていると、なぜか両親が生き返った気がしました。

消臭ビーズが亡き人の匂いを復活させる・・・ちょっとだけ素敵な出来事でした。

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