チクチク

先日、市から委託された認定調査を終えて事務所に帰ってきた時のこと。

脇腹のあたりがチクチクとしていることに気づきました。

身体の左側の真横、ベルトのやや上辺りです。

そういえば、確かに調査中もチクチクしていた気がする・・・

お宅でお話をしながら無意識に脇腹を掻いたりしていなかったかな・・・と心配になりました。

もちろん、このようなチクチク体験は人生で何度もありました。

そのたびにさすったり、掻いたり、シャツの当たりを変えてみたり。

するといつの間にかチクチクは消えていてそのまま忘れていき、しばらくするとまたチクチクする、を繰り返すのが世の常です。

しかし今回はうやむやにせずに、原因を究明し、犯人を特定してやろうと心に決めました。

ノーチクチク

まずは原因をざっくりと絞る必要があります。

ビジネス用語でいう、「問題の切り分け」という手法です。

自分の皮膚の異常からくる「内的要因」か、シャツについたトゲなどの「外的要因」か。

この場合、外的要因であればさらにいくつかに切り分けられるのに対し、内的要因であれば皮膚科に行けば問題が解決します。

つまり深度が浅いと思われる問題、すなわち内的要因から探っていくのが鉄則です。

おもむろにワイシャツとエアリズムインナーをたくし上げ、鏡で脇腹を見てみます。

なるほど予想通り異常なし。まぁそうだろそうだろ。

敵はいよいよ外的要因に絞られ、ワイシャツとインナーを攻めていきます。

この場合、ワイシャツを脱いでみてノーチクチクになったらワイシャツが犯人と言ってもいい状況です。

いそいそとワイシャツを脱ぎ、インナー1枚となりました。

はい、ノーチクチクです。ワイシャツに決定!

という事でワイシャツを再度着てみました。ところが、

ノーチクチク・・・

いやそんな訳はない、と軽くラジオ体操をして体を動かしてみましたが、ノーノーチクチク・・・

再現性

日常生活の中で、発生する確率が著しく偏ることを私たちはよく経験します。

例えば、スマホに不具合がありショップに持ち込んで店員にエラーを再現しようとすると何度やっても正常動作になる。

「いつもは2回に1回はなるんです!」と言ってしまうやつ。

または、「食べてすぐ寝ると必ずおなかが鳴るんだぜ」と言っておきながらみんなで耳を澄ましていても全く鳴らない。

「違う違う!普段は百発百中なのよ!」と言ってしまうやつ。

これらのように、イザというときの再現性が悪くなる例は我々は何度も経験しています。

これが本人の勝負弱さから来るものなのか、神様のいたずらなのか、私にはよくわかりません。

今回もこの沼にはまったようです。何をどうやってもチクチクフリーなのです。

身体を動かすことに疲れ、力なくチェアに座り、認定調査票を書き出しました。

途中で調査票の中の「上衣の着脱」という項目にピクッとするも無視。しばらくはヤツを泳がせておきます。

これもあるある

脇腹のチクチクの記憶も薄れ、仕事を終え、電気を消して事務所の玄関で靴を履いたその時!

チクチクリターン!!!

よし捕まえた! チクチク周辺5cm位のシャツを両手でしっかりとつかみ事務所に逆戻り。

肘でドアノブを下げて真っ暗な事務所に入る。

ラッキーな事にうちの事務所は私の個人的な趣味によりスマート家電仕様になっていて、家電のすべてを音声でコントロールできます。

「アレクサ、電気つけて!」

バックをおろし、左手でチクチク君をつかんだまま、右手だけでなんとかシャツを脱ぎ、震える左手をゆっくり開きました。

ワイシャツもインナーも見た目では原因はわからず。

予想していたのはワイシャツのタグとインナーのタグ、縫い目の3つのどれかでしたがどれも異常なさそう。

そこで3か所をそれぞれ頬にこすりつけてみようと思い立ち、感覚を研ぎ澄ましながらそっと頬ずりをしました。

上半身裸で目をつむってゆっくりとシャツに頬ずりしている姿・・・

犯人発見

やっと突き止めました。

ワイシャツの左側の縫い目のなかに不明なチクチク君が隠れていました。

スマホの拡大鏡で見てみると、糸と中に混じってやや太めのナイロンのような糸が見えています。

なんだこれ?

引っ張ろうにも短くて抜けないので爪切りで周辺の糸と一緒に刈り取りました。

あー満足!

上半身裸で恍惚の表情をしている姿・・・

そういえば確かにこのシャツを着ているときはいつもチクチクしていたような気がする。

そっと頬ずりをして最終確認しやっと退社。やれやれ・・・

「アレクサー、電気消してー」

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